初恋の実らせ方

侑治がテーブルに定食が載ったトレーを置いて彩の隣に腰を下ろした途端、


「侑治先輩っ!」


「今日もめちゃくちゃ格好良いです!」


沙耶と久美子は彩のことなど眼中になくなってしまった。


「君たちもかわいいよ」


か…、軽っっ。


彩は侑治の受け答えにびっくりしたけど、沙耶たちは気にする様子もなく嬉しそう。


そういえば、侑治を知らなかったと二人に話したら、三年モテ男の双璧は、軟派の相原侑治と硬派の長谷部啓吾なんだよ、と教えてくれたっけ。


その代名詞に納得していると、侑治が彩の方を向いた。


うわ、きれいな顔。
この顔であんなセリフ言われたら、確かに沙耶たちみたいにファンになるのが分かるかも。


「もちろん、彩ちゃんもね」


侑治が彩を見てニコッと笑った瞬間、彼の頭が別のトレーで叩かれた。


「―――堂々と人の彼女に手ぇ出すな」


啓吾は呆れたように侑治に目をやり、その隣りに腰を下ろした。