初恋の実らせ方

「キスが嫌なんて、他に理由ないじゃん」


英知はまるで早く別れろ、とでも言うように迫る。


確かに彩は啓吾のキスを拒んだ。
でもそれは初めてで怖かったから。
嫌だからでないことはちゃんと伝えたし、啓吾もそれを分かってくれているはず。
―――だけど。


それ以来啓吾は彩に手を出さなくなった。


そういえば、頻繁にされていた額や頬へのキスの回数も減ったかもしれない。


啓吾は彩にはもったいないくらいの彼氏。
だからこそ、嫌な予感はむくむくと膨らんでいく。


一週間も手を出してこない理由は彩に興味を失ったから?
英知の言うことが正しい気がしてたまらない。


「啓吾くん、私に飽きちゃったのかな…」