初恋の実らせ方

「兄貴とどこまでいったの?」


英知の言葉に彩の動きが止まる。


どうして英知はそんなことを聞くの?
彩は動揺しながら英知にペットボトルを差し出すと。


「何で答えないの?
兄貴手ぇ早いんでしょ?」


英知は答えるまで受け取らない、と言うように彩から目を逸らさない。


「もうキスくらいした?」


キスくらい、という英知の言葉が引っ掛かった。


英知は誰かとしたことがあるの?
彩はゆっくりと英知の目を見つめ返す。


今まで英知に彼女がいるなんて思いもしなかった。
だけど、考えてみれば英知は啓吾の弟だけあってモテそうだし、今まで彼女がいない方がおかしい。


目の前の英知がまるで彩の知らない男の子のように見えて、胸が苦しくなってくる。


彩は少し迷った末、首を横に振った。