遅れて英知の部屋に入ると、英知は既にベッドで寝息を立てていた。
こんな短時間で寝てしまうなんて、相当無理してたんだろうな。


彩は静かに扉を閉めながら周囲を見回すと。
恐らく学校から帰ってきてベッドに倒れ込んだのだろう、部屋はすごく散らかっていた。


脱ぎ捨ててあった制服を拾い上げ、ハンガーに掛ける。
鞄からはみ出てた教科書類も揃えて机の上に載せたとき、机に散らばっていた写真が目に入った。


「うわ、懐かしい…」


それは英知が少年サッカーチームに入っていた頃のもので。
英知はまだ小学生の低学年だったから、もう5年以上も前になるんだ。


すごく楽しそうにボールを追ってる、いい写真。


英知は今でこそ野球部だけど、当時サッカーチームでも持ち前の運動神経で、郡を抜いて目立っていた。


―――どうして野球に転向したんだっけ。
そんなことを考えていると、英知は彩に気付いたのか、だるい体をゆっくりと持ち上げた。