長谷部家の前を通ったとき、彩はふと、今朝の母親の言葉を思い出した。
『隣りの奥さん、お父さんがギックリ腰しちゃって、昨日から実家に戻ってるんですって』
朝は大変だな、と思ったくらいで、啓吾が家事全般を難無くこなすからあまり気にしなかった。
だけど、啓吾の父親は出張中だから、今夜この家に英知が一人きりになってしまう。
英知一人で大丈夫か気になったけれど、家を訪ねるのは少し気まずい。
啓吾と付き合うようになってから、英知とは一度も顔を合わせていなかったから。
今までなら朝も、学校から帰ってからも、休日も。
気が付けば彩の側には英知がいたのに。
最近は話すのはおろか、顔だって合わせていない。
まるで避けられてるように。
最近になって、啓吾と付き合うということは、英知と親しくなり過ぎないことと同じなんだと分かった。
こうしてまた今日も英知に会わないのかと思うと少しだけ寂しい。
英知は彩の一部みたいな存在だったのかもしれない。
側にいるときはそれが当り前で意識しないのに、いなくなると急にその大切さに気付くような。
『隣りの奥さん、お父さんがギックリ腰しちゃって、昨日から実家に戻ってるんですって』
朝は大変だな、と思ったくらいで、啓吾が家事全般を難無くこなすからあまり気にしなかった。
だけど、啓吾の父親は出張中だから、今夜この家に英知が一人きりになってしまう。
英知一人で大丈夫か気になったけれど、家を訪ねるのは少し気まずい。
啓吾と付き合うようになってから、英知とは一度も顔を合わせていなかったから。
今までなら朝も、学校から帰ってからも、休日も。
気が付けば彩の側には英知がいたのに。
最近は話すのはおろか、顔だって合わせていない。
まるで避けられてるように。
最近になって、啓吾と付き合うということは、英知と親しくなり過ぎないことと同じなんだと分かった。
こうしてまた今日も英知に会わないのかと思うと少しだけ寂しい。
英知は彩の一部みたいな存在だったのかもしれない。
側にいるときはそれが当り前で意識しないのに、いなくなると急にその大切さに気付くような。