「安心してね。
ライブハウスで啓吾が浮気したら、後でちゃんと報告してあげるから」


う、浮気?


彩は急に心配になってくる。


ライブハウスにはやっぱり女性客も来るだろうし、啓吾みたいなビジュアルだったら、お姉様方が放っておかないんじゃないだろうか。


啓吾もちゃっかりお酒なんか飲んじゃって、雰囲気に流されたりしたら…。


彩が悶々と考え込んでしまったのを見て、侑治はケラケラと笑い出す。


「彩ちゃん、考えてること顔に出過ぎ」


「いらない心配させるようなこと言うなって」


啓吾が侑治の頭を勢いよく叩くのを見て、彩はからかわれたのだと気付いた。


「からかいがいあって、好きだな、彩ちゃん。
啓吾に飽きたらいつでもおいで」


急に言われて彩はびっくりする。


す、好きって…。
いつでもおいでって…。


彩の周りには、こんなことを臆面なく言える人はいない。


そもそも自分に自信がなくちゃ言えないセリフだけど、侑治はそれに見合う容姿をしてるし。

実際さっきから横を通る女子たちが侑治(と啓吾)を見てキャーキャー騒いでる。