「おでこにしたのと同じだから、目ぇ閉じて」


「うん…」


彩は半信半疑で頷く。
勇気を出して目を閉じかけたところで、首を横に振った。


啓吾は、今度何?と口を尖らせる。


「だって。
啓吾、口開いてるんだもん…」


指摘されて啓吾は黙る。


確かに、安心させるためにおでこにしたのと同じだと言ったけど、素直に受け取られてしまうと困る。


「え…。
舌入れんのダメなの?」


「ダ、ダメだよっ!」


彩が本気で嫌がるので、啓吾は仕方ないな、と溜め息を吐き、


「分かった、舌は入れないから…」


そう言って、もう一度彩の顎を引く。


彩は激しい動悸を感じながら必死に目を閉じた。


唇に触れる寸前。
啓吾は少し迷った末に、唇を彩の額に押し付けた。


「え…?」


彩はその感触に驚き、額を押さえながら啓吾を見た。


「どうして…」


「―――中途半端なやつで止められる自信ねぇもん…」


啓吾は地面に力なくしゃがみ込みながら、


「早く舌入れさせて…」


彩の頭を爆発させた。