初恋の実らせ方

「―――なんで彩が兄貴のチャリに乗るんだよ」


啓吾は面倒臭そうに英知を見る。


「うるせぇな…。
関係ないんじゃねーのかよ」


身から出た錆なので、英知は何も言えない。


こんなに何度も引き合いに出されると分かっていたら、そんなこと言わなかったのに、と後悔してももう遅い。


「―――付き合ってんの、彩と。
分かった?」


啓吾の言葉に英知は目を丸くする。


確かに啓吾は英知に、彩に手を出すと宣言した。
だけど、いくら百戦錬磨の啓吾とは言え、その話をしたのは一昨日かそこらだ。
英知は到底信じられない。