初恋の実らせ方

「悪いけど、人の恋路を邪魔しないで」


啓吾は彩の手を取り、歩き出した。


この繋いだ手を、どう受け取ればいいの?
彩は黙ったまま手を引く啓吾を見上げながら、その真意を計り兼ねていた。


啓吾は部室まで来てやっと握っていた手を離した。
部室に部員の姿はない。


「大丈夫?」


椅子に座らされて、ようやく落ち着きを取り戻した彩はゆっくり頷く。


「ありがとう」


彩がそう言うと、啓吾は側の椅子に腰掛けながら、どういたしまして、と微笑んだ。