確かに啓吾は最近彼女と別れたはずだから、問題はない。


それに英知は彩の彼氏でもなんでもないから、啓吾を止める権利なんてない。


もし啓吾が彩に告白すれば、落ちないわけがなかった。


だけど、と英知は自分に言い聞かせる。


啓吾が今まで付き合ってきた女の子と彩じゃ、タイプが違いすぎる。


啓吾が彩に手を出そうとしてるのは、全く進展しない英知に対する当てつけなんじゃないか。
英知にはそう思えてならない。


啓吾が本気で彩を好きになるわけはない。
英知はそう思い込もうとする。


「―――まさかな」


もし啓吾が本気で彩を好きになったとしたら…。
そこまで考えたところで、英知は頭をブンブン振ってその考えを追い払った。