「そうじゃなくて、部屋から出ろって言ってんの!」


彩は苛立ちながら、調子のいい英知に向かってカーディガンを投げ付けた。


「ちぇーっ」


英知は聞こえよがしに舌打ちすると、そのカーディガンを持ったまま部屋を出て行ってしまう。


投げたのが制服じゃなくて良かった、と溜め息を吐いてパジャマを脱ぎ始めた彩は、ブラウスに腕を通しながら英知のことを考える。


全く英知ときたら。
いくら幼馴染みとは言え、女の子の寝室に平気で入って来るなんて。


呆れながら着替えを終えると、彩は急いで部屋を出た。