「だから構うなよ」


どうせ俺をからかってるだけだろ?
苛立ちを隠せずに英知が言うと。


「―――じゃあもらっちゃお」


啓吾はしれっと言った。


唖然として立ち尽くす英知に啓吾は意地悪くもう一度繰り返す。

「俺のものにするから」


「は?
何言って…」


「前からかわいいと思ってたし」


「ふざけんな!
彩は俺が―――」


「関係ねぇんだろ?」


啓吾が彩の話を始めた真意がようやくわかり、英知は今さらさっきの返答を後悔する。


「自分でそう言ったんだから、絶対邪魔すんなよ」


英知の言葉が本心でないのはわかりきっていたけれど、啓吾はそれを逆手に取って命令口調で言い残す。