初恋の実らせ方

「くだらない賭けしてんじゃねぇよ」


瞬時に脳裏に昨日の彩との会話が浮かんだけれど、英知はとりあえずとぼけてみる。


「何のことだよ」


「しらばっくれんなよ。
彩ちゃんから聞いたぞ」


啓吾の口から彩の名前が出るのは黙っていられない。


「―――彩と話したの?」


英知は持っていた鞄を放り投げて啓吾に詰め寄った。


嫉妬心が手に取るように分かり、そんな英知をからかいたくなってくる。


「ああ、二人きりでね」


啓吾の言葉に、英知はハッとして目を見開いた。