初恋の実らせ方

「彩ちゃんは俺を買い被ってるからな。
そんな聖人君子じゃないっつの」


そっかぁ。
理想の王子様みたいに思ってたけれど、結局英知と同じなのか。


「何がっかりしてんの？」


啓吾は苦笑しながら彩の額を指でつつく。


そんな何気ない仕草まで、兄弟だと似るんだな、なんて思いながら、


「そんなの、賭けに負けたからに決まってるじゃん！」


彩は矢を取りに向かった。


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野球部の練習はハードで、英知は家に着く頃にはヘトヘトだった。


夕食すら食べずにこのまま寝てしまいたい欲求に駆られながら玄関の扉を開けると、啓吾の拳に出迎えられた。


「何すんだよ！」


英知は痛む頭をさすりながら睨んだが、力の差は歴然としているため反撃には移れない。