どうせ英知のことだから、懲りずにまた彩の部屋に上がり込んでるに違いない。


今日という今日はどう怒ってやろう。
なんて考えながら部屋の扉を開けたのに。
中の様子を見た途端、笑いが込み上げてきた。


それもそのはず。


英知がベッドで、たくさんのぬいぐるみに囲まれながら寝息を立てていたから。


女の子の部屋に同化してるのがたまらなくおかしい。


笑いを噛み殺しながら、あどけない寝顔の英知のすぐ側にぺたんと腰を下ろした。


「全く、かわいいヤツ」


英知の寝顔を見つめながらそっとつぶやく。


女の子顔負けの長いまつげ。
通った鼻筋。
口角がキュッと上がった唇。


やっぱり英知と啓吾はそっくり。


「啓吾くんのミニチュア版だ」


啓吾には小さすぎるベッドだけど、英知は足を伸ばして寝ることができる。