初恋の実らせ方

英知は吹き出しながら、こら、とたしなめる。


「悪かったな…。
これがスポーツマンの勲章なの」


英知は彩に顔を上げさせる。
彩の顔は涙でぐしゃぐしゃだったけれど、英知は今まで見た中で一番かわいいと思った。


英知は彩の頬に触れ、そっと顎を持ち上げて唇を重ねた。


何度か軽く唇に触れた後、英知は彩の舌を吸う。
キスはいつかより強引だったけれど、彩は少しも嫌じゃなかった。


英知が何度も何度も愛おしそうに舌を絡めるのを感じながら、彩は自分が欲しかったキスが英知のものだったことを確信する。


そのキスに、彩は両手でも足りないくらいの愛情を感じた。


「ふ…」


英知が一旦唇を離し、荒くなった呼吸を整えてもう一度彩に口付けようとした瞬間、二人の後ろからか細い声が響いた。


「―――先輩、お取り込み中すいません…。
俺、便所に行きたいんすけど」