初恋の実らせ方

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「あ…」


いつか英知に、何でサッカーから野球に転向したんだっけ？なんて聞いたことを思い出す。


原因は自分だったんだ。
それに気付いて彩は思わず赤面する。


『だから彩ちゃんは僕のお嫁さんね』


そんなやりとり、彩は今の今まで忘れてた。
英知はずっと前から今も変わらず、彩を思っててくれたんだ。


英知は彩がそんなことを考えてるなんて知らずに、試合の状況を説明してくれる。


「相手チームの打者がすごくってさ…」

九回、一死二塁。
英知の投げた球は低めのインコースぎりぎり。
英知の得意とする球筋だったけれど、一人相撲のピッチングは難無く捕まってしまった。


「打球が俺の方に向かって来たんだけど…」


ピッチャーは球を放った瞬間から内野手になる。
英知の運動神経をもってしてもその打球を受け止められず、その後ろにいたセカンドに当たってしまった。


だけど幸いなことに、打球は英知のミットを掠めたためにスピードは落ち、大事には至らなかったと言う。