「人聞きの悪いこと言うなよ…」


ゲホゲホと咳き込む侑治に、啓吾は冷たく言い放つ。


「俺の知り合いに、お前の被害者はいらん」


いつもなら侑治の冗談を聞き流す啓吾が、感情を表に出すのは珍しい。


「ふぅん。
そんなに大事な子なんだ…」


侑治は薄笑いを浮かべながら啓吾の背中を叩いた。


その力が強くて、今度は啓吾が咳き込む。


「いってーな」


啓吾が反撃しようとしたとき予鈴が鳴り、二人は足早に教室へ向かった。