初恋の実らせ方

どれほど英知を心配したか。
どれほど会いたかったか。
胸に詰まるほど伝えたいことがたくさんあった。


「運ばれたのが英知だって聞いて、私死ぬほど驚いたんだから…」


そこまで言ってから彩はためらう。


「目が覚めたら、英知にまた怒られちゃうかな。
構うなって…」


その言葉はすごく悲しかったけれど、そう言った英知の方が辛かったのかもしれない。


「ごめんね、英知。
今まで英知の気持ちにも、自分の気持ちにも気付いてなかった。
英知に構うなって言われて、悲しくて、やっと気付いた…」


彩は一呼吸置き、自分の胸に確かめながら続けた。


「私は英知が好きなの。
そんなこと言わないで…」


知らぬ間に涙がこぼれていた。
その瞬間。


「―――今の本当？」


背後から英知の声が聞こえて、彩は驚いて振り返った。
立っていたのは紛れもなく英知だった。