「英知に渡したくない…」
啓吾は情けないセリフを吐くのは癪だったけれど、彩を失わないためにはなりふり構っていられなかった。
彩が英知にどんどん惹かれていくことを一番怖がっているのは、啓吾ではなく彩だ。
だからこそ、啓吾が彩を捕まえていなければさらに不安にさせてしまうと思った。
「何言ってるの?
英知なんて関係ないよ…」
彩は空元気でそう言ったとき、観覧車の順番が巡ってきた。
彩は啓吾の手を引くようにして観覧車の中に入り、隣り合って座る。
啓吾と手を繋いでるというのに、どうしてこんなに不安なんだろう。
大好きな啓吾にこんなにも思われていて、一体何を不満に思うことがあるんだろう。
長い沈黙の後、啓吾はぽつりとつぶやいた。
「―――英知は関係ないんだよな?」
気付けば観覧車はもう頂点に近付いていた。
啓吾は情けないセリフを吐くのは癪だったけれど、彩を失わないためにはなりふり構っていられなかった。
彩が英知にどんどん惹かれていくことを一番怖がっているのは、啓吾ではなく彩だ。
だからこそ、啓吾が彩を捕まえていなければさらに不安にさせてしまうと思った。
「何言ってるの?
英知なんて関係ないよ…」
彩は空元気でそう言ったとき、観覧車の順番が巡ってきた。
彩は啓吾の手を引くようにして観覧車の中に入り、隣り合って座る。
啓吾と手を繋いでるというのに、どうしてこんなに不安なんだろう。
大好きな啓吾にこんなにも思われていて、一体何を不満に思うことがあるんだろう。
長い沈黙の後、啓吾はぽつりとつぶやいた。
「―――英知は関係ないんだよな?」
気付けば観覧車はもう頂点に近付いていた。

