「変…?」


「変だよ!
クラスに格好良い人いなかったの?」


記憶を辿っても、いいなと思ったことはあってもその程度。


「「信じられない!」」


二人の驚きに戸惑った彩は嘘を吐いた。


―――本当は、幼馴染みの啓吾くんに憧れてるの…。


どうしてそこで啓吾の名前が出てきたのか分からない。
もしかしたら、好きになるなら啓吾みたいな人だと漠然と思ってたのかもしれない。


「なるほど、長谷部先輩か」


即興で挙げたのが初恋の相手に相応しかったからか、沙耶も久美子も疑わなかった。


いや、それを一番信じてしまったのは彩自身かもしれない。
その証拠に、それ以来啓吾が眩しくてたまらなくなったんだから。