「―――どうして?
嬉しかったってさっき…」


「嬉しかったよ、だけどもう嫌なんだよ!
どうせ兄貴にもらったもんなんだろ!」


彩は小さな声で、でも、と続けた。


「お守りはお守りでしょ。
啓吾にもらったからって、関係ない…」


「関係あんだよ!」


英知は怒鳴るように言った。


「俺は彩が好きなんだよ!
だから頭に来るし、面白くねぇんだよ!
彩が兄貴にもらったもん勘違いして喜んで、俺バカみたいじゃんか」


思いがけない英知の言葉に、彩は自分の耳が信じられなかった。


「―――嘘、でしょ…?」


「悪かったな、本気だよ。
ずっと言えなかった。
彩がいつもいつも兄貴のことしか考えてなかったから…」


何を言っているの?
そう聞きたいのに口が動かない、頭が働かない。


もし英知が言うことが本当なら、さっき啓吾のことを忘れて一人の女の子として聞いて欲しい、と言っていたのはこのことだったの?