「―――じゃあ、日曜。
行きたいとこ考えておいて」


頷いて部屋を出て行く彩に微笑んで手を振りながら、啓吾は湧き上がる嫉妬と焦燥に耐える。


いつから彩は英知を見ていたのだろう。
そして、いつの間に彩の中でそれほど英知の存在が大きくなったのだろうか。


彩自身がそれに気付いていないことが、さらに啓吾を苛立たせる。


英知だったら彩は本当に受け入れるのだろうか。
それを想像するだけで、啓吾のプライドは簡単に傷付く。


啓吾はそんな考えを追い払うように頭を振り、椅子に座った。


今彩を追えば、きっとまだ玄関辺りで追い付くだろうし、そこで何か気の利いた言葉でも伝えればこの気まずさを消せるかもしれない。


また、今フォローしないと彩との距離が離れていくことも分かっていた。


だけど結局啓吾は彩を追うことができず、ため息をついて頭を掻いた。