初恋の実らせ方

啓吾の字は右上がりで少し神経質そう。
だけど、初めて見ることができて彩は嬉しい。


「ありがと」


「どういたしまして」


啓吾は優しく笑うと再び本に目を落とす。


彩は啓吾に言われた公式を使い、やっと計算が合ってホッとした。


何となくコツを掴めたようで、そのまま2ページほど解き進んだところで彩は満足そうに笑った。
その瞬間啓吾が吹き出す。


「百面相」


「ひどい、黙って見てたの?」


てっきり啓吾は本を読んでいるとばかり思っていたのに、悩んだり、喜んだりしている無防備な顔を見られていたと思うと、恋人とはいえ恥ずかしい。


「彩がかわいかったからね」


見せて、と啓吾はそう言って彩のノートを見て、ふうん、とつぶやいた。


「やればできるじゃん」


「もとはいいのかな」


もちろん冗談で言ったのだが、すぐに啓吾は笑って否定する。


「いや、先生がいいんでしょ」


彩がすねて頬を膨らませるのを見て、啓吾はごめんごめんと言いながら両手を広げた。


「じゃあ、ご褒美」