初恋の実らせ方

どうして真希は泣いているんだろう…。


いつも気丈な真希の泣き顔は、何かやたらと胸に迫った。


そして以前キスをして欲しいと言われたときもこんな泣き顔だったのを思い出す。


キスしてくれたら諦めるから、諦める努力をするから、と懇願されて頷いたんだっけ。


他の誰から言われても英知はきっと頷かなかった。


そうか、俺は仙道の泣き顔に弱いんだ…。
英知はそれに気付いてため息を吐く。


これ以上真希が泣くのは見たくない。


「何でお前が泣くんだよ…」


英知は真希からタオルを取り上げると、それで彼女の顔をゴシゴシ擦る。
いつの間にか英知の涙は止まっていた。


「英知…」


英知は、何？と短く答える。


「好きだよ…」


真希はそう言って英知を抱きしめた。