英知が何も言わないのが肯定だと分かり、真希は内心複雑だった。


「でもお兄さんの彼女なんでしょ?
手ぇ出したらヤバイじゃん」


真希は冗談で言ったが、英知としては本当だから何も言えない。
今さら肯定するのも否定するのも面倒くさかった。


「仲良さそうにデートなんかしちゃってさ。
実はもうキスとかしてたりして…」


英知が答えないのは否定できないからだ。
真希は聞くんじゃなかったと後悔する。


「へぇ。
英知って手ぇ早いんだ…」


「うるさいな。
お前には関係ないだろ…」


溜め息混じりに言う英知に、真希は叫ぶ。


「関係ある!
だって英知のファーストキスの相手は私だもん…」


そう言った瞬間、英知が急に足を止めたので、真希は慌ててブレーキをかけた。