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「最近、荒れてるね」
後ろから掛られた声に、英知は振り向きもせず別に、とつぶやいた。
「図星のくせに」
「うるせーな。
お前には関係ないだろ」
英知は振り向き、自分の後ろを自転車で続くマネージャーの仙道真希を睨んだ。
真希が黙ったのを確かめて、英知は再び走り出す。
真希はそんな英知に全く動じず、関係あるもん、と心の中で一人ごちた。
英知は感情の起伏は激しいけれど、それを部活に持ち込むことはめったになかった。
成績が落ちようと、友達とケンカしようと、野球をしているときにはおくびにも出さない。
そんな英知が荒れ始めたのは最近、それもごく。
あの部活の買い出しをサボった日から英知はずっとイライラしてる。
真希には原因の、おおよその見当がついていた。
「あの人のこと好きなの?」
―――この前一緒にいた人」
返事をせずに英知は考える。
たった一度、それもほんの一瞬、一緒にいるところを見られただけで真希は英知の気持ちに気付いたというのに、どうして肝心の彩は夢にも思わないんだろう。
「最近、荒れてるね」
後ろから掛られた声に、英知は振り向きもせず別に、とつぶやいた。
「図星のくせに」
「うるせーな。
お前には関係ないだろ」
英知は振り向き、自分の後ろを自転車で続くマネージャーの仙道真希を睨んだ。
真希が黙ったのを確かめて、英知は再び走り出す。
真希はそんな英知に全く動じず、関係あるもん、と心の中で一人ごちた。
英知は感情の起伏は激しいけれど、それを部活に持ち込むことはめったになかった。
成績が落ちようと、友達とケンカしようと、野球をしているときにはおくびにも出さない。
そんな英知が荒れ始めたのは最近、それもごく。
あの部活の買い出しをサボった日から英知はずっとイライラしてる。
真希には原因の、おおよその見当がついていた。
「あの人のこと好きなの?」
―――この前一緒にいた人」
返事をせずに英知は考える。
たった一度、それもほんの一瞬、一緒にいるところを見られただけで真希は英知の気持ちに気付いたというのに、どうして肝心の彩は夢にも思わないんだろう。