「よっしゃー!」


団体戦の試合当日、弓道場に歓声がこだまする。


彩と啓吾の所属する弓道部は弱くなかったが、決して強くもない。
だけど啓吾は恐らく弓道にも才能があって、彼に影響されてか部全体のレベルは毎年うなぎ登りに上がっていた。


二部リーグで優勝すれば晴れて一部リーグに昇格できる。
この試合にそれが懸かっていたから、部員のテンションももちろん高い。


矢が的を射る度に、先程と同様の歓声が沸き上がる。
それを誘う素晴らしい競射をするのはやっぱり啓吾だ。


弓道着を崩す事なくきちっと着こなし、綺麗な型で弓を引く啓吾は贔屓目を抜きにしても、他の選手より格段に凛々しい。


啓吾が矢を的に当てる度、観客席から見ている彩は、同じく弓道部員の沙耶と抱き合って喜ぶ。


対戦高校の女子生徒さえ、啓吾を見て格好良いと騒ぐのが、優越感に浸りそうなくらい嬉しい。