恋する手のひら

実果にくっつかれた腕が、強張って言うことをきかない。

ちょっと待てよ。
これじゃまるで俺がひっかけたみたいじゃないか。
俺は慌てる。

「違うよ、虫じゃなくて葉っぱ」

頭に付いた葉を取って目の前に突き付けると、実果は真っ赤になって、慌てて俺から飛び退いた。

「ご、ごめっ…!」

その勢いがあまりに強かったため、つまずいてその場に尻もちをついた。
全く、おっちょこちょいなやつだな。

「鈍臭すぎ…」

俺は思わず笑ってしまう。
そして彼女に手を差し出した。

実果は顔を赤らめたまま俺の手を取った。

「ありがと」

触れた手の温もりに驚く。
まるで眠いときの子供みたいな手に、俺はまた笑いを堪えた。

照れながら立ち上がった実果を見ていると、もう手を離してもいいのに、何となく離すのが惜しい気がしてきた。

なぜか実果もそのまま俺の手を握ってる。