「タ、タケルっ…?!」

もしかして今の、よろけたフリだったの?

完全に騙されたこの状況を把握していくにつれて、私の顔は赤く染まっていく。

「隙がありすぎるよ、お前」

タケルが困ったように言う。

どうしよう。
タケルに抱きしめられるのが嫌じゃないなんて、こんなに自分がいい加減だとは思ってなかった。

こんな顔を見られたら、気持ちが揺れてるのがバレちゃうよ。

「昨日待つって言ったばっかなのに…。
お前がそんな調子だと、我慢がきかない」

タケルは私を抱きしめる腕に力を込めていく。

「付き合おう。
俺たち、絶対に上手くいくから」

自信満々の言葉に、顔と胸が熱くなる。

タケルの風邪がうつったのかもしれない。

だって熱にでも浮かされてなきゃ、その言葉に頷くはずないんだから…。