恋する手のひら

聞き間違いじゃないよね?
デートだと思っていいって言ったよね?

てことは、もしかして…。
いや、もしかしなくても。
秀平も私のことが好きってこと?

途端に、頭の中でラッパを持った天使たちが軽快な音楽を奏で出す。
その音が大きすぎて、パニックになりそうだ。

「遅刻するなよ」

秀平は私の顔を見て言った。

私が慌てて頭を縦に振ると、彼は満足そうに口の片端を上げた。
その顔は、まるでいたずらっ子の小学生みたい。

明日は早く寝なきゃ、なんて思いながら、帰って行く秀平の背中を見送った。


夜、ベッドの中でさっきの出来事を反芻する。

まだ胸がドキドキしてる。

夢じゃない。
秀平とデートなんだ。

明後日のことなのに、今からもう緊張してる。

誕生日を秀平と二人で過ごせるなんて、思ってもみなかった。

こんなに幸せでいいのかな。
幸せ過ぎて罰が当たらないかな。

明日、朝一でタケルにメールで報告しよう、そう思いながら眠りについた。