私、いつからこんなに涙腺弱くなったんだろう。
そんなことを思った瞬間、秀平の唇がそっと私の唇に重なった。

───え…?

さっか電車の中で偶然触れたのとは全然違う、ちゃんとしたキス。

きっと時間にすれば大した長さじゃないけれど、私にとっては永遠のように感じられた。

秀平は、呆然と固まった私からゆっくり唇を離す。

私の頭は混乱したまま、全く働かない。

どうして秀平は突然キスしたの?
その疑問で頭がいっぱいになってる。

「悪かった…。
これもノーカウントにしといて」

何も言えない私に秀平はそれだけ言うと、今度は本当に帰って行った。