恋する手のひら

全くタケルはふざけてばっかりなんだから。

だけど、何を読んでいるのだろう。
やけに真剣な顔をしてる。

「隠れてコソコソ読んでるのが怪しいんだよな。
確かめてみようぜ」

そう言ってタケルがこっそり教室に入り、秀平の背後に回り込むものだから、つい私も後に続いてしまった。

タケルは秀平の背後から、

「なーに読んでんだよ」

急に声をかけた。

「うわっ!」

驚いた秀平が床に落としたのは、本ではなく書類の束だっだ。

「なんだ、つまんねーの」

書類を拾いながらタケルがつぶやく。

「だから言ったでしょ。
タケルとは違うって」

私は笑いながら、何の気無しにタケルの手の中を見て動きを止めた。

目に入って来たのは、想像もしないものだったから。