恋する手のひら

帰り道、秀平の顔を見つめる。

「何?」

秀平はいつものポーカーフェイスで首を傾げるから、何を考えてるか分からない。

怒ってないの?

のこのこ家に上がり込んで秀平のものにして欲しいって言っておきながら、朝まで爆睡してたなんて。

我ながら呆れる。
愛想尽かされてないかな?

「ごめんね…。
誕生日なのに、何もしてあげられなくて。
しかも迷惑までかけて」


私は秀平の手を握りしめながらつぶやいた。

「別に。
俺はお前と一緒にいられればいいって言ったじゃん」

秀平はいつも優等生みたいな発言をする。
もう少し甘えてくれてもいいのにな。

「まぁ、何もできなくて残念ではあったけど」

いたずらっ子のように舌を出す秀平に、私は真っ赤になった。