拍子抜けして目を開けると、秀平が私に背を向けて座っていた。

「どうして?」

私は秀平の背中に向かって問いかける。

「無理強いしないって、タケルと約束したし、」

そして秀平は私に目をやって続けた。

「ていうかお前、熱あるのに。
ここで手ぇ出したら、俺、人としてまずいだろ」

秀平は恨めしそうに言うと、またため息をつく。

「このまま帰るかどうかはまた後で考えるとして、とりあえず少し休め」

秀平が私の頭を軽く叩いて部屋を出て行こうとするから、私は慌てて彼の手を掴む。

「行っちゃ嫌だ…」

秀平がびっくりした顔をする。

それもそのはず。
だって口にした私自身、驚いてるんだから。