恋する手のひら

ゆっくり自分の額に手を当ててみると、確かに熱いかもしれない。

朝から何となく頭がボーッとして、体も少し怠かったけど、緊張で眠れなかったせいだと思い込んでいた。

ワンピースを脱ぎ、秀平のスウェットに腕を通したかけたところで、急激に照れが襲ってきた。

秀平は私を気遣ってくれてたのに、一人で勘違いして覚悟まで決めちゃったりして。
私ってば本当に間抜け。

「───実果、着替えられた?
入るぞ」

ノックと同時に秀平の声が聞こえ、私は慌ててスウェットを着ると、どうぞ、と答えた。

「お前、本当に小さいな…」

秀平はスウェットがだぶだぶなのを見て苦笑した。

「熱計って」

秀平は私に体温計を渡すと、水差しからコップに冷水を注いでくれる。

数分後、体温計に38度2分と表示されると、私もさすがに驚いた。