「実果のやつ…。
どんだけお前に筒抜けなんだよ」

俺は大きなため息をつく。
ここまでくると、腹が立つのを通り越して呆れる。

「言っておくけど、あいつはお前の目的が分かっててOKしたわけじゃないぞ。
これっぽっちもお前とヤるつもりなんてないんだからな」

タケルがざまあみろ、と言うように舌を出す。

「分かってるよ。
あんな無防備な相手に手ぇ出せるか」

満面の笑みで、一晩中ゲームできるねって言われた俺の身にもなってみろ。
結構キツイぞ。

「ていうか、そんなことまでお前に話すんだな…」

俺は顔をしかめる。
実果にその気がないことよりも、よっぽどそっちの方がへこむ。

「迫られたら拒めって教えといたから」

「余計なお世話だよ」

笑うタケルに、俺はため息をつく。

「何々?
何の話してるの?」

そんなことをしてるうちに、トイレから戻って来た実果が興味深そうに顔を覗き込むものだから、俺たちは顔を見合わせて苦笑した。