恋する手のひら

黙りこくった私に気付いて、タケルは私の頭にポンと手を置いた。

「そんな悩むな。
もし秀平が迫ってきても、実果が嫌ならそう言えばいいんだから」

私はゆっくりとタケルの顔を見る。

「実果がそういう気持ちになるまで待たせてやればいいんだよ」

「うん…」

その言葉に少しだけ落ち着いてくる。

そのうち私も、そういう気持ちになるのかな。
好きだって気持ちが高まれば、自然に大丈夫になるのかな。

「タケルはそういう気持ちになったこと───」

「だから俺に聞くなってば!
もう、勘弁してくれ!」

タケルはそう叫ぶと、結局ゲームは貸してくれなかった。

*******

実果とタケルの間に、そんなやりとりがあったなんて知るはずもない俺は、最近実果の態度がおかしい気がしていた。

手を繋ごうとするとあからさまに交わされるし、前からそうだけどタケルの後ろにひっついてばかり。

まるで避けられてるみたいだ。