「何?」

念のため口元を拭いながら聞くと、秀平は目を逸らした。

「───何でもない」

嘘だ、絶対に何か言おうとしてた。

二年間秀平を見つめてきた私の目は、そう簡単にはごまかせないんだから。

「秀平って素直じゃないよね」

私が言うと、秀平は少し膨れながら私を見た。
その真剣な目にドキドキする。

「───週末、両親が出かけて留守なんだ」

「…?うん。」

秀平の意図が掴めない私は、間抜けな返事をしてしまう。

「───実果と一緒に過ごしたい。
そういうのでもいい?」

秀平はそう言って、真剣な目で私を見た。