恋する手のひら

「何で忘れるかな…」

私は秀平の誕生日を忘れたことなんてないのに。
男子って基本、イベントに無頓着だよね。

ナポリタンもおいしそうだな、なんて思いながら、私もカルボナーラを一口。

「おいし」

卵がたっぷりで美味しくて、にやけてしまった私を見て秀平が苦笑する。

彼はパスタを巻き付かせたフォークを私に差し出しながら言った。

「女子ってそういうイベント好きだよな」

物欲しげな顔してたかな、なんて少し恥ずかしかったけどナポリタンも一口。

うん、こっちも美味しい。

「何か欲しいものないの?」

私が聞くと、秀平は少し考えるようにしてから首を振る。

「ない」

がっくり。
ちゃんと祝ってあげたいのに。

「私ばっかりもらって…」

そこまでつぶやいて気付く。

そう言えば私、誕生日にネックレスもらっておいてお礼を言いそびれてた。