「タケルは私たちが引き取るから、実果は秀平くんと楽しんでおいで」
久美子はそう言うと、タケルの腕をガッと掴み、沙耶と共に去って行った。
何だよ、離せよ、と遠くで響くタケルの叫び声に笑ってしまった。
******
「───で?
タケルが友達にもモテるって知ったら、急に惜しくなった?」
「違うよ!」
秀平に言われて私は頬を膨らませる。
そんな言い方するなんて、秀平は意地悪。
惜しくなったとか、そんなんじゃないもん。
だけど、動揺しているのは確かだ。
「あいつがモテるのは今始まった話じゃないけどな」
秀平がぽつりとつぶやく。
「あいつ部活の後とか、よく女子に呼び出されてたし。
今年の春合宿でもマネージャーに迫られてたっけ」
バスケ部のマネージャーは後輩で、うちの学年でもかわいいと評判の子。
そんな子にも好かれてたなんて、さすがにびっくり。
「去年のバレンタインデーのチョコレートの数はついに100個を超えて…」
「嘘っ!」
驚いた私を横目に、秀平は舌を出して、嘘、とつぶやいた。
久美子はそう言うと、タケルの腕をガッと掴み、沙耶と共に去って行った。
何だよ、離せよ、と遠くで響くタケルの叫び声に笑ってしまった。
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「───で?
タケルが友達にもモテるって知ったら、急に惜しくなった?」
「違うよ!」
秀平に言われて私は頬を膨らませる。
そんな言い方するなんて、秀平は意地悪。
惜しくなったとか、そんなんじゃないもん。
だけど、動揺しているのは確かだ。
「あいつがモテるのは今始まった話じゃないけどな」
秀平がぽつりとつぶやく。
「あいつ部活の後とか、よく女子に呼び出されてたし。
今年の春合宿でもマネージャーに迫られてたっけ」
バスケ部のマネージャーは後輩で、うちの学年でもかわいいと評判の子。
そんな子にも好かれてたなんて、さすがにびっくり。
「去年のバレンタインデーのチョコレートの数はついに100個を超えて…」
「嘘っ!」
驚いた私を横目に、秀平は舌を出して、嘘、とつぶやいた。

