落ちてきた鉄パイプが周りの備品にぶつかる金属音が鳴り響いた後、ようやく辺りは静けさを取り戻した。

「 実果、大丈夫か?」

秀平に聞かれて頷こうとしたものの、薄暗い倉庫で脚立から足を踏み外したことはもちろん、鉄パイプが落ちてきた恐怖で、まだ体が震えてる。

「うん…」

だけど体がどこも痛くないのは、秀平が抱き止めてくれた上に、鉄パイプからも庇ってくれたおかげ。
そのせいで秀平はどこも痛めなかっただろうか。
ゆっくり視線を上げると、秀平は何か言いたげな顔で私を見つめていた。

こんなに近くで秀平の顔を見るのは夏休み以来。

条件反射で胸が痛む。
やっと振っ切れてきた気がしてるのに、このままだと気持ちが舞い戻ってしまいそうで、私は慌てて視線を逸らす。

「ありがとう、もう大丈夫…」

自分を落ち着かせるために、秀平から離れようとしたとき。
私は急に、強い力で抱きしめられた。