新学期早々の放課後、教室で友達と喋ってたとこに、古典の林原先生が顔を出した。

「早川、ちょっと来い」

先生は私を見つけると手招きしながらそう言う。

夏休みの課題はちゃんと提出したのに、なんて首を傾げながら先生の元へ向かうと、

「お前なー。
何だ、あの進路調査票は」

先生は手にしていたプリントを丸めて、私の頭を叩いた。
そういえば、林原先生は(こう見えて)進路指導の主任なんだっけ。

「ちょっと職員室に来い」

連れられるままに、私は職員室の林原先生の机の前に行った。

今朝提出した進路調査票には、第一から第三志望の大学と学部名を書く場所があって…。

「お前な、記入欄は埋めればいいってもんじゃないんだぞ」

林原先生は私の目の前に、私の調査票を突き付ける。

第一志望:K大学、文学部
第二志望:K大学、教育学部
第三志望:K大学、福祉学部

もちろんK大にしたのは、既にK大進学を決めたタケルに誘われたから、それだけの理由。

「学部の選び方が節操なさすぎ。
やりたいこと全くないのかよ」

林原先生は呆れたようにため息をついた。