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それから半月。
夏休みがもうすぐ終わる。
まだ蒸し暑さの続く昼下がり、俺は地元の図書館へ向かった。
推薦を断るとき咄嗟に出た言葉だったけれど、建築に興味があるというのはあながち嘘でもなかった。
叔父が建築家で、幼い頃彼に連れられて色んな建造物を見に行って圧倒されたのを今でもよく覚えている。
将来は建築家になりたいと本気で思ってた時期もあったっけ。
バスケを始めてからはそんな気持ちすっかり忘れていたけど、口に出したくらいで再び興味が沸くなんて俺って結構単純だったんだな。
目当ての建築家の写真集を手にした俺は、空いている席を探すため辺りを見回す。
夏休みの図書館は空調が効いているからか割と混んでいる。
窓際の席で参考書を広げて勉強している女の子の向かい側が空いているのを見つけ、俺は声をかけた。
「…ここ空いてますか?」
「あ、はい───」
空いてます、そう言いかけて彼女は息を飲む。
同時に俺も目を見開いた。
「実果?」
驚いた。
目の前にいる実果は、背中まであった髪をばっさり切っていたから。
それから半月。
夏休みがもうすぐ終わる。
まだ蒸し暑さの続く昼下がり、俺は地元の図書館へ向かった。
推薦を断るとき咄嗟に出た言葉だったけれど、建築に興味があるというのはあながち嘘でもなかった。
叔父が建築家で、幼い頃彼に連れられて色んな建造物を見に行って圧倒されたのを今でもよく覚えている。
将来は建築家になりたいと本気で思ってた時期もあったっけ。
バスケを始めてからはそんな気持ちすっかり忘れていたけど、口に出したくらいで再び興味が沸くなんて俺って結構単純だったんだな。
目当ての建築家の写真集を手にした俺は、空いている席を探すため辺りを見回す。
夏休みの図書館は空調が効いているからか割と混んでいる。
窓際の席で参考書を広げて勉強している女の子の向かい側が空いているのを見つけ、俺は声をかけた。
「…ここ空いてますか?」
「あ、はい───」
空いてます、そう言いかけて彼女は息を飲む。
同時に俺も目を見開いた。
「実果?」
驚いた。
目の前にいる実果は、背中まであった髪をばっさり切っていたから。

