「秀平と会ってきたんだろ?」

「え…?」

「そんな泣き腫らした目してりゃ分かるよ」

私は思わず顔を手で覆う。
私ってば、一体どんな顔してるんだろう。

「───うん。
それで、今度こそきちんと振られてきた。
私とはやっていけないって、きっぱり言われた」

私は精一杯の強がりで笑って言う。

タケルは少し黙ったものの、驚いた様子はなく、すぐに私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「何するの───」

私が抵抗しようとタケルの手を掴もうとしたところで、逆に手を捕まれた。

「実果。
もう一度、ちゃんと付き合おう」

タケルが真面目な顔で私の目を見る。

「これからもずっと側にいて、お前を支えるから」

タケルが側にいる。
それだけで少し強くなれる気がする。

ありがとう、タケル。
今度こそ本当に秀平を振っ切る。
タケルがくれた気持ちを返せるように、努力していくから。

だからお願い、もう少しだけ待ってて。