ずっと好きだったって前にも言われたけど。
目を見ながら初恋の人なんて言われたら、心臓がもたないよ。

「───実果」

繋いだタケルの手に力がこもった。

大会の間は現状と向き合わないでいられるなんて、私の勝手な思い込みだ。

タケルは今すぐにでも、私の答えを待ってる。
私が心からタケルの胸の中へ飛び込んでいくのを待ってる。

「これからの試合、俺のことをちゃんと応援してて」

私は頷く。

「絶対に勝つから」

最後の夏。
ずっと目指していたインターハイ。
ここまで勝ち残るなんて、想像以上だった。
タケルを応援しないはずがない。

「どうしても負けたくないんだ」

このときの私は、タケルがどういう気持ちでそう言ったのか、全く気付いていなかった。

彼の言葉の真意を知るのは、もっとずっと先のこと。

私はただ彼の熱意に、頑張ってね、と心から応援したんだ。