ゆっくり手を伸ばし、それに触れる。

見間違えるわけない。
慣れないジュエリーショップで買ったネックレス。
結局、直接渡すことはできなかったけれど、そうか、実果はストラップにして持っててくれたのか。

正直嬉しい。
タケルは面白くないだろうけど、俺の選んだものを実果が大事にしてくれていたのが分かっただけで十分だった。

不意に、実果がストラップに触れていた俺の手を掴んだ。

目を覚ましたのかと思って構えたけど、当の本人はまだ寝息を立てている。

でもさっきよりいくらか顔色が良くなったかな。
なんてホッと息をついたところで救護室の扉が開き、タケルが顔を出した。

実果が俺の手を握っているのを見てタケルの表情が曇る。

手を握ってきたのは実果だから責められても困るけど、何も言われないのも逆に気持ち悪い。

俺は彼女を起こさないようにそっとその手をほどいた。