息が止まるかと思った。
だって、好きな子が突然自分の目の前で倒れたんだから。

俺はとっさに実果を支える。
だめだ。
完全に気を失ってる。

全体重が俺の腕にかかったけど、いくら実果が小柄とはいえ軽すぎる。

全く、ちゃんと飯食ってんのかよ。

辺りを見回すと救護室の表示が目に入る。

とりあえず実果を抱えてそこへ向かい、側にいた後輩にタケルに伝えるように言った。

救護室のソファーベッドに実果を寝かせて、顔にかかった髪を掻き分けてやる。

顔色は真っ青なくせに、やたら体温は高い。
熱中症だろうか。
それとも脱水か?
後でスポーツドリンクを買って来よう。

そんなことを考えていると、実果の手に握られた携帯電話が目に入った。

さっきそれを渡した直後に倒れたというのに、彼女はまだしっかり握りしめていたのか。

「ていうか、何で そんなもん付けてんだよ…」

俺は彼女の携帯電話を見てつぶやく。
そこには、俺が彼女にあげたネックレスのトップが付いていた。