恋する手のひら

それからすぐに私は応援席へ戻った。

後半は少しうちの高校が崩れかけたけど、なんとか持ち堪えて結果は辛勝。

私たちは、ペットボトルを一応秀平の分と二つ持ってタケルの元に向かった。

「タケル、後半調子ガタ落ちじゃん。
相変わらず持久力ないねー」

沙耶が壁に寄り掛かって座り込むタケルの額をつつく。

「うるせ」

タケルはぷいと沙耶から顔を背ける。

「でも勝って良かったね。
インハイの前哨戦で負けたら自信なくすもんねー、キャプテン」

久美子もタケルの顔を見てケラケラ笑う。

「お前らなー。
応援しに来たのか、自信喪失させに来たのか、どっちなんだよ」

中学校時代からの見慣れたやりとりに私もつい笑ってしまう。

「じゃ、私たちはこれで。
後は実果、よろしく」

そう言って二人は帰って行った。