恋する手のひら

この先ずっと目を覚まさなかったらどうしよう。
秀平の寝顔を見ていると、怖くなる。

だけど。
時間が経つのは、残酷なほどにあっという間だった。


事故後すぐは、クラスメイトが順々にお見舞いに来ていたのに、二週間を過ぎたあたりから次第にその機会は減っていた。

『秀平はもう目を覚まさない』

口には出さないけど、みんなそう思ったんだと思う。

だけど、私たちは秀平に会いに来るのをやめなかった。

休日はもちろん、平日も部活の後に秀平の病室へ行って、宿題やくだらない話をするのが私とタケルの日常になっていた。